ガストの特筆すべき商品について
先日、たまたま機会があってガストで友達と食事をした。
ガストの店内はサイゼリヤのような騒がしさもなく、どことなく大人びた雰囲気を漂わせており、そこで私は友達と談笑しながらメニューを手に取った。
さあ、ガストには色々な種類の食事がある。和風の定食やマグロ丼もいいなと思いつつ、豪勢に肉でも食うかとハンバーグのページを開く。
私がそれを視認するまで、さほどの時間はかからなかった。
とろ〜りチーズinチーズonハンバーグ。
なんだいその商品名は。
一体どういうことなんだ。
その商品は「とろ〜りチーズ」が「チーズonハンバーグ」にinしているのか、それとも「とろ〜りチーズinチーズ」が「ハンバーグ」にonしているのか、一体どっちなのだ。
いや、写真を見る限りは前者だろうが、それにしてもその商品名はどうなんだ。
英語の前置詞を使って誤魔化しているが、日本語に直すと、「とろ〜りチーズが中に入っていてチーズが上に乗っているハンバーグ」である。これはあまりにも情報を詰め込み過ぎではないか?
「とろ〜りチーズがinしているハンバーグである」という情報と「チーズがonしているハンバーグ」という情報を並列して表記しようと詰め込む所からしてもうムチャクチャである。
結果として、「『とろ〜りチーズがinしたチーズ』がonしているハンバーグ」と考える客が居てもおかしくないような混乱を生んでしまう。
ここで、また一つ気になって仕方ないことがある。
ハンバーグに恐らくはinしているであろう「とろーりチーズ」とハンバーグにonしている「チーズ」の差は一体何なのか。その差はどこで生まれたのか?
写真を見る限りではハンバーグにonしているチーズも十分とろーりしているのではないか?
果たしてハンバーグにinしているチーズを「とろーりチーズ」にして、ハンバーグにonしているチーズを「とろーりチーズ」と表記しなかったのはどういう判断の基準によるものなのだろうか。
ここで、ある一つの仮説が浮かび上がる。
「とろーりチーズ」がinしたハンバーグであるという情報に、既に「チーズ=とろーりチーズ」という情報を含めているため、それよりも後方にある「とろーりチーズ」に掛かっている「とろーり」という修飾語を省略した、という可能性だ。
要するに「とろーりチーズinとろーりチーズonハンバーグ」であるが、後方のとろーりチーズのとろーりという情報は既に前項で説明されているので要らないと判断したということだ。
それにしても、まったく奇妙な商品名である。
このハンバーグの一番主体となるべき食品はハンバーグのはずだ。それなのに、「チーズonハンバーグ」と表記してしまっている、これでは「ハンバーグの上に乗ったチーズ」を食べているというチーズ主体のニュアンスを含んでいる。ましてや「とろーりチーズinチーズonハンバーグ」である。これではもはやハンバーグはチーズのおまけ程度にしか感じないだろう。これは明らかに日本語にむりやり英語の前置詞の概念を組み込んだことから来る失敗だ。
そんなことを考えつつガストに入り、コーラと、とろーりチーズinチーズonハンバーグのライスセットを頼んだ私は、「とろーりチーズinチーズonハンバーグwithコーラandライスinガスト」となった。